随分とご無沙汰しておりました。昨年より、愛猫を失い先輩を失い今年三月二十八日に父が永眠しました。予感めいたものがあったのか昨年末に訪ねた時に、俺にもしもの事があったときは、”延命措置はするな、あとは全てお前が決めた通りにしてくれ”と言っていた。病院のベッドに横たわる父の脇で母と弟が号泣している光景を古い映画のように今でも鮮明に覚えている。私は一通り医者の話を聞き葬儀屋と打ち合わせをし、一先ず母と弟は家に帰し、葬儀屋まで父の遺体と一緒に行った。どうやら火葬場が混んでいるらしく4日間、遺体安置所に安置してもらう事になり書類に必要事項を記入した。担当者は書類をコピーしてくると言って事務所に行ったので、線香を三本立てて父と二人きり、私はそこに立ってじっと父の顔を見ていた、何も答えてはくれないが私は”これで良いよな”と語りかけていた。
父の人生を息子の私が語ることはないが、常に這い上がりの人生だったと思う、ハンデを背負ったレースに挑み最後にはぶっちぎりでゴールテープを切った、そんな人でした。七十歳を過ぎた頃から”もう、お前には何も教えることはない”と言われていたが。今でも小言やアドバイスを思い出す、不思議な事に、そのときは全く覚えていないのに何かの拍子に思い出す。今月の十五日で四十九日、最近気づいたけど私は未だ涙を流して泣けていない、とても辛く悲しいのに。
また、今かなり重い症状の病気と戦っている知り合いもいます。何故こんなにも、やるせない事があるんだろうか。これ以上私の周りの人を失いたくないと心から思う今日この頃です。