東京の23区内でも若者が多いと言われる駅から徒歩圏内の歓楽街を横道に入ると畳2枚程度の無人の八百屋があります。私が知る限り5年以上前からあります。たまたま通り掛かった時に気になったので写真を撮ってみました、ちょっと驚いたのが手書きの看板でした。
『若い人へ』で始まる看板というか手書きの文章には、以下の様に書いてあります。『私は広島から一人で出て来てお金がないのでスイカで1ヶ月過ごしました、ガリガリにやせていましたが母に仕送りのお金が足りないって言えなかったの。あれから30年が過ぎました、みなさんに、たくさんお野菜作ってたくさん入れるようにします、仲間からたくさんもらって来ます、だから安心してください。ともちゃんがいるから安心してください、未来を不安に思わないでください。息子と(11才)と畑頑張っています。ともちゃんより』
何時も木箱にジャガイモや人参や玉ねぎなど入っているが午前中に木箱は空になっている事が多いようです。買う人は蓋の付いた缶が置いてあり一束¥300程度入れている様です。私が興味を持ったのは手書きの看板です、よく通っていたのに手書きの看板を読んだのは初めてでした。私の想像ですが、この場所は建築上使えなかったであろう畳2枚程度のスペースでビルのオーナーの好意か、若い人に人気な一階の店舗が野菜の卸先だったのか分かりませんが、自分が息子と作っている野菜を値段も決めずに木箱に詰めて都会の片隅に並べている。ある日の朝散歩の途中にともちゃんらしき人が木箱を並べているところに出会した、思わず”ご苦労様です”と声をかけた時の、ニッコリ笑った顔が忘れられませんでした。
人任せで依存するよりも自分の足で立ち自立した人は仲間もいるし自分達以外の若い人への利他の行為が出来るのだろうか….何にしろ『徳』を繋いでいく事ができれば、こんな酷い世の中だけど未来は明るいかもしれません。ともちゃん、まだ暑い日が続くけど体に気をつけてください。
立川